Claude Code は CLAUDE.md に書いたルールに従いますが、そのルール自体を「セッションの経験から自動更新する」仕組みはありません。コミュニティリポジトリ awesome-claude-code-toolkit の continuous-learning スキルは、その空白を埋める試みです。
スキルが解決する問題
同じ修正を何度も繰り返してしまう——「catch ブロックで生のエラーをそのまま返してはいけない」と一度伝えても、次のセッションでは忘れられている。この繰り返しを断ち切るのがこのスキルの目的です。
セッション中に発生したパターンを 3 種類に分類して記録します。
- Corrections — ユーザーに直された箇所
- Successful Approaches — 最初から通った実装パターン
- Anti-Patterns — 問題を起こしたアプローチ
信頼スコアによる自動適用の制御
各パターンには 0.0〜1.0 の信頼スコアが付きます。スコアに応じて Claude の振る舞いが変わります。
| スコア | 意味 | Claude の行動 |
|---|---|---|
| 0.95+ | 複数プロジェクトで検証済み | 自動適用 |
| 0.80〜0.94 | このコードベースで確認済み | 適用して一言添える |
| 0.60〜0.79 | 観測はされたが未検証 | 提案する(断言しない) |
| 0.40〜0.59 | 仮説段階 | 確認を取ってから適用 |
| 0.40 未満 | 投機的 | 記録のみ・適用しない |
スコアはフィードバックで上下します。ユーザーが確認すれば +0.10、別文脈でも通用すれば +0.05、却下されれば −0.20 といった具合です。「確信のないことを黙って適用する」問題をスコアで抑制する設計です。
セッション終了時の wrap-up プロトコル
セッション末尾で次の手順を実行します。
- diff をスキャンしてパターンを抽出
- 最初の実装から直った箇所を Corrections として記録
- 修正なしで通った箇所を Successful Approaches として記録
- 信頼スコアをそのセッションの結果で更新
- CLAUDE.md または LEARNED.md に書き戻す
書き戻し先はスコアで決まります。0.85 以上は CLAUDE.md の主指示セクションへ、0.60〜0.84 は専用の Learnings セクションへ、それ未満はセッションノートに留め置かれます。
知識の組織化と定期メンテナンス
蓄積された知識はドメイン別ファイルに分散します。
knowledge/
error-handling.md
testing.md
performance.md
api-design.md
パターンには EMERGING(頻度 3 未満)→ GROWING(3〜7)→ ESTABLISHED(8 以上かつ信頼度 0.85+)というステータスがあり、ESTABLISHED になって初めて自動適用の対象になります。90 日間参照されず信頼スコアが 0.70 未満のエントリは月次でアーカイブされます。
CLAUDE.md との関係
このスキルは CLAUDE.md を「人間が書くもの」から「Claude が経験をもとに更新していくもの」に変えます。最初は空でも、使い続けるうちにプロジェクト固有のパターンが蓄積されていきます。
注意点として、このスキルはコミュニティ製の単一 SKILL.md です。公式スタイルのように補助ファイルへ分離されておらず、詳細な手順とデータ構造がすべて本文に書かれています。セッション中ずっとコンテキストに乗り続けるため、トークン消費は公式スタイルより多くなります。
まとめ
- continuous-learning は修正・成功・アンチパターンを信頼スコア付きで記録し、CLAUDE.md に自動書き戻しするスキル
- スコアが閾値に達するまで自動適用せず、仮説段階のパターンを静かに適用してしまう問題を防ぐ
- 使い続けるほどプロジェクト固有のルールが育ち、毎セッション同じ指摘をする繰り返しが減る
- コミュニティ製の単一ファイルスキルなのでトークンコストには注意が必要