Claude の拡張機能として「Agent Skills」と「MCP(Model Context Protocol)」の両方が存在します。名前から用途を想像しにくいですが、解決する問題が根本的に異なります。

MCP とは:ツール接続

MCP は外部サービスやAPIに Claude を接続するためのプロトコルです。MCPコネクタを使うと、Messages API から直接リモートMCPサーバーに接続できます。

response = client.beta.messages.create(
    model="claude-opus-4-8",
    max_tokens=1000,
    messages=[{"role": "user", "content": "利用可能なツールを教えて"}],
    mcp_servers=[{
        "type": "url",
        "url": "https://example-server.modelcontextprotocol.io/sse",
        "name": "example-mcp",
        "authorization_token": "YOUR_TOKEN",
    }],
    tools=[{"type": "mcp_toolset", "mcp_server_name": "example-mcp"}],
    betas=["mcp-client-2025-11-20"],
)

MCP が解決するのは「Claude に外部の何かにアクセスさせる」問題です。サーバーは HTTP 経由で公開されている必要があり(ローカルの STDIO サーバーは不可)、現在はツール呼び出しのみサポートされています。特定のツールだけを使わせたい場合は default_config: {"enabled": false} で全ツールを無効化してから、必要なものだけ configs で有効化する許可リスト方式が使えます。

Agent Skills とは:知識・ワークフローの付与

Skills はファイルシステムベースの「モジュール型専門知識パック」です。MCP のようにリアルタイムにデータを取得するのではなく、「このタスクをどう進めるか」という手順・ベストプラクティス・参照資料を Claude に提供します。

Skills は3階層の progressive disclosure 設計になっています。

レベル タイミング 内容
メタデータ(YAML フロントマター) 常にロード(約100トークン) Skill の名前と説明
SKILL.md 本文 トリガー時にロード(5,000トークン未満) 手順・ベストプラクティス
追加ファイル・スクリプト 必要な時だけロード 参照資料・実行スクリプト

Claude は起動時にメタデータだけを読み込み、リクエストが該当 Skill の説明と一致するときだけ SKILL.md を読み込みます。コンテキストウィンドウを無駄に消費しない設計です。

カスタム Skills の構造

カスタム Skill は SKILL.md ファイルを中心とするディレクトリです。最低限の構成は次のとおりです。

my-skill/
├── SKILL.md              # メイン指示(トリガー時にロード)
├── REFERENCE.md          # 詳細リファレンス(参照時にロード)
└── scripts/
    └── helper.py         # ユーティリティスクリプト(実行時に bash 経由で呼ばれる)

SKILL.md の先頭には YAML フロントマターが必要です。

---
name: my-workflow
description: 〇〇タスクを実行する。ユーザーが〇〇を依頼した場合に使用する。
---

name は小文字・数字・ハイフンのみ(最大64文字)、description はいつ使うべきかも含めて記述します。Claude はこの description を元に「この Skill を使うかどうか」を判断するため、トリガー条件を明確に書くことが重要です。

事前構築済み Skills とカスタム Skills

Anthropic が提供する事前構築済み Skillsとして PowerPoint(pptx)・Excel(xlsx)・Word(docx)・PDF(pdf)があります。API から使う場合は container パラメータに skill_id を指定し、ベータヘッダー code-execution-2025-08-25skills-2025-10-02 を設定します。

カスタム Skills は独自のドメイン知識や組織固有のワークフローをパッケージ化できます。API 経由でアップロードしたカスタム Skills はワークスペース全体で共有されます。Claude Code の場合はファイルシステムに配置するだけで自動検出されます。

Claude はリクエストの内容から「この Skill を使うべきか」を自己判断します。明示的に指定しなくても自動で適用されます。

2つの使い分け

目的 使うもの
外部 API・データベース・サービスへのアクセス MCP
特定ドメインの知識・手順の注入 Agent Skills
社内の独自ワークフローを Claude に覚えさせる カスタム Agent Skills
リアルタイムのデータ取得 MCP(または web_search などのサーバーツール)
ドキュメント生成(PPTX・XLSX など)の専門知識 事前構築済み Agent Skills

まとめ

  • MCP:外部サービスへのツール接続。リアルタイムデータアクセスが目的
  • Skills:知識・ワークフロー・手順の付与。一度作れば自動適用される
  • Skills の progressive disclosure 設計により、多数の Skill をインストールしてもコンテキストへの影響が最小限に抑えられる
  • カスタム Skill の description に「いつ使うか」を明記することが自動発見の鍵
  • Claude が「いつ使うか」を自己判断する点が Skills の大きな特徴