MacBook Air M3 / 24GB に Ollama でローカル LLM を導入するにあたり、「どのモデルが存在し、どのサイズがこの PC で実用的に動くか」を事前に整理しました。Apple Silicon のユニファイドメモリ(CPU と GPU が同一メモリを共有する構造)は VRAM 相当として使えますが、OS やアプリが常時数 GB を消費するため、安全に使えるのは実質 16〜18 GB 程度です。Q4 量子化で 10 GB 以下を「快適」、14〜17 GB を「他アプリを閉じれば動く」、18 GB 超を「非推奨」の目安としました。

Gemma 4(Google DeepMind)

Gemma 4 は 2026 年 4 月に Google DeepMind がリリースしたオープンウェイトモデルです。全バリアントがテキストと画像を入力できるマルチモーダルで、thinking モード(推論トークンを出力してから最終回答を返す機能)にも対応しています。

モデル名 パラメータ数 Q4 目安サイズ このMacで動くか
gemma4:e2b 約 2.3B(有効) 〜1.5 GB ✅ 快適
gemma4:e4b 約 4.5B(有効) 〜3 GB ✅ 快適
gemma4:26b 26B-A4B(MoE) 〜14〜18 GB ⚠️ ギリギリ
gemma4:31b 31B(Dense) 〜20 GB ❌ 非推奨

E2B・E4B は MoE(Mixture of Experts)構造で、26B モデルも推論時に活性化するのは 4B 分のパラメータです。26B は 14〜18 GB とレンジが広く、コンテキスト長によって消費量が変わります。M3 / 24GB では Gemma 4 E4B または E2B が快適な選択肢で、マルチモーダルが必要なら E4B が良いバランスです。

Qwen3(Alibaba / Tongyi Lab)

Qwen3 は Alibaba の Tongyi Lab が開発した多言語対応のファミリーです。Dense モデルと MoE モデルの 2 系統があり、thinking / non-thinking モードをプロンプトで切り替えできます。

モデル名 パラメータ数 Q4 目安サイズ このMacで動くか
qwen3:0.6b 0.6B 〜0.4 GB ✅ 快適
qwen3:1.7b 1.7B 〜1.0 GB ✅ 快適
qwen3:4b 4B 〜2.5 GB ✅ 快適
qwen3:8b 8B 〜5.2 GB ✅ 快適
qwen3:14b 14B 〜9.3 GB ✅ 快適
qwen3:32b 32B 〜20 GB ❌ 非推奨
qwen3:30b-a3b 30B-A3B(MoE) 〜18 GB ⚠️ ギリギリ
qwen3:235b-a22b 235B-A22B(MoE) 〜130 GB 超 ❌ 非推奨

M3 / 24GB では Qwen3 14B が最大の「快適」モデルです。多言語テキストを扱う汎用モデルとして、サイズと性能のバランスが取れています。

DeepSeek-R1(DeepSeek AI)

DeepSeek-R1 は中国の DeepSeek AI が開発した推論特化モデルです。フルモデルは 671B の MoE ですが、Ollama で実用的なのは Distill バリアント(Qwen2.5 や Llama 3 ベースのモデルに R1 の推論能力を蒸留したもの)です。

モデル名 パラメータ数 Q4 目安サイズ このMacで動くか
deepseek-r1:1.5b 1.5B(Qwen蒸留) 〜1.1 GB ✅ 快適
deepseek-r1:7b 7B(Qwen蒸留) 〜4.7 GB ✅ 快適
deepseek-r1:8b 8B(Llama蒸留) 〜5.2 GB ✅ 快適
deepseek-r1:14b 14B(Qwen蒸留) 〜9.0 GB ✅ 快適
deepseek-r1:32b 32B(Qwen蒸留) 〜20 GB ❌ 非推奨
deepseek-r1:70b 70B(Llama蒸留) 〜43 GB ❌ 非推奨
deepseek-r1:671b 671B(MoE) 〜400 GB 超 ❌ 非推奨

M3 / 24GB では DeepSeek-R1 14B(Distill)が最良の選択です。数学・コーディング・論理推論に強い R1 の特性を、9 GB 程度のコストで得られます。

Mistral(Mistral AI)

Mistral AI は 2023 年創業のフランスのスタートアップで、高性能なオープンモデルを継続的にリリースしています。2025 年末〜2026 年にかけて Ministral 3 ファミリー(3B / 8B / 14B)を投入し、各サイズに base・instruct・reasoning のバリアントを揃えました。

モデル名 パラメータ数 Q4 目安サイズ このMacで動くか
ministral-3:3b 3B 〜2.0 GB ✅ 快適
ministral-3:8b 8B 〜6.0 GB ✅ 快適
ministral-3:14b 14B 〜9.1 GB ✅ 快適

Mistral Nemo(12B、128K コンテキスト)も引き続き Ollama で利用できます。M3 / 24GB では Ministral 3 14B が最大かつ快適な選択肢で、reasoning バリアントを選べば思考モードにも対応できます。

Phi-4(Microsoft Research)

Phi は Microsoft Research が「小型でも高性能」を追求して開発するファミリーです。合成データ中心の学習により、パラメータ数の割に STEM・論理推論の性能が高いことが特徴です。現在は Phi-4(14B)を中心に、Phi-4-mini(3.8B)・Phi-4-reasoning(14B)・Phi-4-mini-reasoning(3.8B)・Phi-4-multimodal(5.6B)が揃っています。

モデル名 パラメータ数 Q4 目安サイズ このMacで動くか
phi4-mini 3.8B 〜2.5 GB ✅ 快適
phi4-mini-reasoning 3.8B 〜2.5 GB ✅ 快適
phi4 14B 〜9.1 GB ✅ 快適
phi4-reasoning 14B 〜9.1 GB ✅ 快適

M3 / 24GB では Phi-4(14B)または Phi-4-reasoning(14B) が快適に動きます。reasoning バリアントは thinking モードに対応しており、数学・科学問題での精度が上がります。

選定結果

調査を踏まえて、以下の 5 モデルを導入しました。

モデル Q4 サイズ 選んだ理由
Gemma 4 E4B 〜3 GB マルチモーダル対応、軽量で常時起動に向く
Qwen3 14B 〜9.3 GB 多言語・汎用、thinking 切り替えが便利
DeepSeek-R1 14B(Distill) 〜9.0 GB 推論・数学・コーディングに特化
Ministral 3 14B 〜9.1 GB Mistral 系の安定した性能、reasoning バリアントを選択
Phi-4 14B 〜9.1 GB STEM・論理推論に強い、合成データ学習の恩恵

14B クラスを複数選んだのは、Q4 量子化で約 9 GB に収まり、M3 / 24GB のユニファイドメモリで十分に余裕を持って動作するためです。用途ごとに切り替えることを前提に、特性の異なるモデルを揃えました。

まとめ

M3 / 24GB では Q4 量子化で 10 GB 以下のモデルを複数並べておくのが実用的です。14B クラスは 5 種類すべてが快適ゾーンに収まり、20B 超は基本的に非推奨となります。MoE モデルは総パラメータ数が大きくても活性パラメータは少ないため、Gemma 4 E4B のように小さなモデルでも高い性能を発揮することがあります。用途に応じてモデルを使い分けるためにも、まず各ファミリーのラインナップをひと通り把握しておくことが選定の出発点になります。